壁の一面だけ壁紙を変えてアクセントにする。
たとえば、白い壁紙をベースにして、壁のどこか1面だけを違う色にする、これがアクセントクロスです。
費用もたいして掛からないため、最近では非常に多くの家で採用されています。
でも、あえて逆の提案をしたい。
アクセントクロスは使わないほうがいい。
使わないほうがいいと考える理由を挙げていきます。
アクセントクロスをおすすめしない理由
飽きる
家が完成して、住み始めたときはアクセントクロスがあると、部屋に入ったときパッと目を引きますし、見栄えもいいので採用して大成功、と思うかもしれません。
でも、その家にこれから何十年も住む、と考えてみてください。
はっきり言って、すぐに飽きます。
あくまでも私個人が経験して感じたことですが、アクセントクロスをやってよかった、大成功、と感じていた期間は、1年もありませんでした。
まず住み始めて半年もすれば、そのアクセントクロスに何も感じなくなります。
当然なのですが、アクセントクロスはただの色の違う壁です。
いつも見ていれば当たり前にあるものなので、何も心が動きませんし、そもそも、見る、という意識自体が無い状態になりました。
失敗した、と感じるわけではないのですが、やってよかった、なんてことは思わなくなる。
ただそこにあるだけ、という存在になります。
壁なので当たり前ですね。
これは間接照明でも同じことが言えると思います。
いつの間にか点けることのなくなった間接照明。
新築が完成後、引越しをして、新居で暮らすようになってから、住み始めたころは何度か使ってみました。
間接照明を点けるとすごくいい雰囲気になるので、気に入っていましたが、徐々に点ける頻度が減っていき、気がつけば、まったく点けることはなくなっていました。
我が家の飾り棚を照らすように配置してあるスポットライト、はっきり言って、まったくつけません。
こういった間接照明と同じでアクセントクロスも、初めは採用してよかった、と思っていても、しばらく住んでいると、別にあっても、なくてもどちらでもよかったかも、と感じてしまう存在になることがほとんどです。
傷や色あせが目立つ
壁紙は日に焼けたりして色あせていったり、どんどん劣化していきます。
これが全面同じ壁紙だとあまり目立たないのですが、アクセントクロスがあるとより目立つことになります。
白系の普通の壁紙も色あせるので同じと言えば、同じなのですが、 アクセントにするため、濃い色にしたせいなのか?または、ベースとなる白色とアクセントとなるカラーの2色があるせいなのか?どういった理由なのかはわからないのですが、いずれにせよ他の壁よりもアクセントクロスの色あせが目立って気になるようになりました。
それでも経年劣化はまだいいのです。
全体として劣化していくので気にはなりますが、そこまでは目立たない。
でも、アクセントクロスの傷は致命的です。
アクセントクロスのアクセント部分、色が違う壁は、どうしても目を引きます。
アクセントクロスとはそもそもそういう目立つ存在ですので、必然的にアクセントクロスについてしまった傷も非常に目立つことになってしまうのです。
さらに、アクセントクロスは、多くの場合、鮮やかで派手な色のクロスを選んでいると思います。
それがさらに問題をやっかいにさせます。
アクセントクロスのような鮮やかな色の壁紙を素人が補修しようとしても、上手に直すのは非常に難しいのです。
壁紙にちょっと傷がついてしまった。
こんな時に白系の壁紙ならば、ホームセンターなどで販売されている壁紙補修キットなどで自分で補修して、そこそこ目立たなくすることもできます。
でも、傷ついたのがアクセントクロスなら、補修は業者さんを呼んだほうが無難かもしれません。
素人が手を出すと逆に目立つようになってしまうなど、傷口を広げる結果となってしまいます。
インテリアを考えるときに邪魔になる
アクセントクロスの色は、インテリアを考える上で非常に重要なポイントとなります。
部屋の中に大きなアクセントとなる白以外の色がすでに一つあることになるため、インテリア的にはそこからさらに色を増やしていくことになります。
必然的に普通の部屋よりも色の選び方が難しくなります。
アクセントクロスのある部屋の場合、家具を選ぶときにも、部屋全体の色をしっかりと考える必要が出てきます。
家具だけではなく、最近の家電などはデザインも非常におしゃれになってきており、色の種類も豊富で非常にカラフルな製品もあります。
家具、家電、インテリアを購入する際に、選択肢は豊富にあるのにアクセントクロスがあることによって、その選択肢に制限を掛けられたような状態になってしまうのです。
家具や家電、インテリアなどもアクセントになるようなものを選んでしまうと、アクセントクロスとインテリアのアクセントが喧嘩して、非常にごちゃごちゃとした雰囲気になってしまう場合もあります。
結果として、アクセントクロスを邪魔に感じてしまうことになってしまいます。
インテリアとして柔軟性がない
インテリアだって好みが変わることがあります。
部屋のテイストを変えようと思ったときに、アクセントクロスはまたもや邪魔な存在となってしまいます。
はじめに選んだ時は、自分の好みの雰囲気になるように選んでいるので、非常にうまくいった、と感じていても、自分の好みがいつまでも同じとは限りません。
アメリカンなものが好きだった方が、急に北欧風が好きになったり、和モダンな雰囲気にひかれることだってあるはずです。
ここまで極端にがらりとテイストごと好みが変わらなかったとしても、気分転換にちょっとした部屋の模様替えをすることや、好きな色味が変わる、くらいのことは誰にだってあることだと思います。
でも、そのような時にアクセントクロスの色が障壁となってしまうのです。
これが普通の白系の壁紙ならば、それほど影響しない場合がほとんどだと思う。
一般的な壁紙の色である白は良くも悪くも個性がないので、どのようなテイストにも無難になじんでくれます。
そのため壁紙が白の場合、どのようなインテリアにも柔軟に対応することが出来るのです。
部屋の中のアクセントを簡単には変えることのできないアクセントクロスに頼ってしまう、というのはコストは抑えることが出来ますが、簡単には変更できない、というリスクの伴う選択ということになります。
安っぽく感じてしまう
アクセントクロスは、部屋全体の壁紙を同じにしないで、1面だけなど壁紙を変えて、壁に変化を持たせたものです。
ただ、アクセントクロスといったって、しょせんはただのクロス、壁紙です。
見慣れてくると、飽きるのと同様に、なんとなく安っぽく感じてしまうことがあります。
壁紙なので、実際、たいしてコストもかかっていないし、事実安いわけですから当たり前ですね。
それを色を変えるなどして強調して注目を集めてしまっていること自体が、間違いともいえるのかもしれません。
これが、ある程度年を経て、色あせてくるとさらに印象が悪化していきます。
後からゆっくりと楽しみたい
アクセントクロスを使わないほうがいい理由を挙げましたが、アクセントクロスにはメリットもたくさんあります。
以前は、デメリットもあるがあまりコストを掛けないで大きな変化を付けられるアクセントクロスは、どちらかと言えば、メリットの方が大きい、と感じていました。
ただ、同じ家に何十年も住む、というように長い期間、例えば20年程度の期間を想定したとき、最近では、もしかしたらデメリットの方が大きいのではないか?と考えるようになりました。
特に、家のインテリアをいろいろと考えることは、住み始めてからの楽しみの一つだと思うのですが、インテリアを考える上で、アクセントクロスはどちらかというと邪魔になってしまう場合のほうが多いのではないか?と感じるのです。
新築の時は、インテリアも考慮してアクセントクロスを選ぶことが出来ます。
クロスの色はいくらでもあるので、上手にコーディネートすることも比較的容易です。
でも、住み始めてしばらくして、インテリアを変えようと思ったり、気に入ったインテリアを見つけて購入しようとしたとき、今度はインテリアの色をしっかりと考えなくてはいけなくなります。
壁紙と同じようにできるかというと大間違い。
家具、家電などのインテリアには、壁紙ほどの色の種類がありません。
インテリアにあわせてアクセントクロスを選ぶのは比較的簡単です。
でも、はじめからあるアクセントクロスにあわせてインテリアを選ぶのは、限られた選択肢の中から選ぶことになるため、アクセントクロスを選ぶよりも、圧倒的に難しくなるのです。
これでは、アクセントクロスがインテリア選びに制約を付けることになってしまい、せっかくの楽しみの邪魔になってしまっているのでは?と考えるようになってきました。
家具を見ていてすごく気に入ったソファがあった。
でも、その色がアクセントクロスの色ととてもじゃないが合いそうもない。
こんなことだって起こりえるのです。
私は実際にありました。
家にこだわりがある人ほど、住んでからもいろいろと考えて家具やインテリアを購入したり、DIYしたりすると思います。
そんな人ほど、アクセントクロスは導入しないほうがいいのかもしれません。
新築時は、せっかくだから、あれもこれもと採用していきたくなるものです。
特にアクセントクロスは、新築時に採用すれば、ほとんど費用が掛かりません。
対して、家が建ってからアクセントクロスに張り替える場合は、なかなかの費用がかかってしまいます。
このように考えてしまうと、新築時にアクセントクロスをやらないと損だ、と思ってしまい、アクセントクロスに対して、それほど強いこだわりがあるわけではないのに、今しかできない、せっかくだから採用しよう、となってしまう場合が多いような気がします。
アクセントクロスのいい面だけではなく、悪い面も当然ある、ということをわかった上で、しっかりと検討して採用を決めてください。
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