勝手口。
昔は、キッチンのことを、お勝手なんて呼んだ為、そこにある出入口ということで、勝手口と呼ばれています。
ただ、最近は勝手口のない家も増えてきました。
そもそも土地の間口が狭い場合、裏から出入りすることができなかったり、意味のない状態である場合もあります。
また、昔は、その名前の由来通り、キッチンにあるものでしたが、最近では、利便性を考えて、子供がどろんこで汚れて帰った時にすぐに手を洗ったり、服を脱いで洗濯できるように、洗面や洗濯機のところに勝手口がついていることもあり、玄関以外の家族が利用する私的な出入口となっている場合もあります。
ただ、この勝手口、間取りを考えていると、そもそも必要なのだろうか?と非常に疑問を感じるものなのです。
予算に悩まされている場合、費用を少しでも下げたいので、なんとか削りたくなるものの一つだと思います。
勝手口のメリット
勝手口を何に使うか?
単純に考えれば、勝手口を頻繁に使う、利用頻度が高いほどメリットが大きいと言えます。
まず、一番に思いつく勝手口の利用方法は、ごみ捨てのときでしょうか?
生ごみなどのごみはキッチンで一番多く出ます。
そのごみを捨てる時にすぐに家から外へごみが出せること、これは意外と助かります。
ごみ箱は、リビングなどにもありますが、一番やっかいなごみはやはり生ごみです。
料理などの時に出る生ごみは、においが有ったり、水気が多かったりして、リビングなどのごみよりもはるかにやっかいなもの。
それをいち早く屋外へ出すことができます。
ビニールのごみ袋に入れるのだから、水気が多くても水がたれたりはしないのですが時には袋が破れることもありますし、感覚的に生ごみをリビングや他の部屋などを通らないで外へ出せる、これが勝手口の一番の利用方法です。
その次の使い方は、・・・・個人的にはそれほど思い浮かびません。
ごみ捨ての時以外は、各家庭によって違ってきます。
例えば、我が家は田舎なので、ご近所さんから畑で取った土の付いた野菜をいただくことがあるのですが、その時に勝手口からキッチンへ、というような使い方もしていますが、このあたりはまさに各家庭の生活環境や事情によるものです。
もう一つの使い方として、古い家では家族は勝手口から主に出入りしている、という場合もあります。
玄関は来客用、勝手口が家族用のファミリー玄関のような役割になっている、という感じ。
こうすると来客用である玄関があまり汚れないで済むというメリットがあります。
ただ、基本的に勝手口は家の裏側に位置するため、出入りする場所としては、玄関側のほうが使いやすい位置にあります。
そのため、この使い方が主な用途なら、勝手口ではなく、メイン玄関の横にファミリー玄関をつくるほうが便利かもしれません。
いろいろ考えてみると、想像していたより、勝手口って使い道が無いんですよね。
メリットとして、採光や通風などの機能を備えたものもあり、それらをあげることもできますが、採光や通風は勝手口ではなく、窓でも十分。
勝手口のメリットとは思えません。
勝手口のデメリット
いまいち使い道の無い勝手口。
逆にデメリットはというと、たくさんあるように感じてしまいます。
暑さ、寒さを増幅する
まずは、寒さ、暑さが厳しいこと。
勝手口があると、確実に冬は寒いです。
これは玄関ドアが冷たいのと同じで、ドアはかなり冷たくなります。
さらに勝手口を寒いと感じさせてくれる原因が間取りに存在しています。
玄関ホールとリビングとの間には、まず間違いなく扉が付いていると思います。
だから、玄関ドアが冷たくて、玄関ホールが寒くても、リビングにはそれほど影響しないのであまり気になりません。
それが勝手口では、そうはいきません。
今の間取では、ほとんどの場合LDKが一体です。
そして、勝手口とLDKの間には、玄関と違って仕切るものが何もないことがほとんど。
このため勝手口方向から冷気がくるのを感じるくらい冬には寒さを増してくれます。
リビングでも感じるくらいですので、勝手口があるキッチンではさらに寒さが際立っています。
キッチンに立つ人は勝手口の冷気をダイレクトに感じることになるでしょう。
もちろん季節が変われば、夏には暑さも感じさせてくれます。
防犯面も気になる
さらにデメリットとしては、防犯面が大きいのではないでしょうか?
扉があれば鍵の閉め忘れも当然起こります。
急いで出かけるとき、玄関の施錠を忘れることは少ないのですが、勝手口は忘れがちです。
空き巣被害の侵入経路としては、窓ガラスを割られての侵入と、施錠忘れによる玄関、勝手口からの侵入で半分以上というデータもあるくらい鍵を締め忘れるというのは非常に大きなリスク要因となります。
家を出て少ししてから、勝手口が気になって念のため一度家へ戻る羽目になる、なんてことも。
で、実際に帰ってみればきちんと施錠されている。
鍵がかかっていてよかったのですが、そもそも勝手口がなければ勝手口の戸締りの心配すらしなくてもいいのです。
外出のときに実際に使う出入口は施錠を忘れる確率はかなり低いのですが、玄関と勝手口のように出入口が二つある場合、使わなかった出入口の施錠はついつい忘れがちです。
また、玄関を表とすると勝手口はその反対側、裏側に位置することになります。
これが防犯面では問題となります。
裏側というのは死角になる場合が多いため、狙われる確率も高くなるとも言えます。
その死角に出入口があるというのは防犯の意味ではマイナスでしかありません。
その上、勝手口は裏口なので、それほど予算を掛けることはできません。
結果、玄関ドアよりも安くて、弱い扉が付いていると思います。
最近では鍵は2重になっていたりして、多少は改善されてきてはいますが、扉の強さはやはり値段に比例しますので、玄関よりは勝手口のほうが弱いことがほとんど。
そのため、強引にこじ開けるなどした場合、破られやすいと言えます。
土間部分が邪魔になる
さらにほかのデメリットとして、勝手口の土間が気になる場有があります。
勝手口は出入口なので靴を置く場所が必要。
土間があるのも仕方が無いのですが、この土間がキッチンとのつながりかたによっては、落とし穴のような状態になってしまいます。
言葉の上で失敗という意味の落とし穴ではなく、実際の穴としての落とし穴です。
考えてみると、家の中に勝手口のように土間になっているところなど、玄関しかありません。
ただ、玄関は玄関ホールとして独立していますが、勝手口はキッチンなどと普通に続きになっています。
なにも仕切りなどがない床に大きな穴があるような形状となるため、めったに落ちることが無いような間取りにはなっているはずですが、ごくごくまれに足を踏み外し、ビックリすることが起こってしまいます。
そして、勝手口がなかった場合を考えてみると、ここが全部収納になるとするとそこそこ大き目のパントリーなどにすることもできるくらいスペースがあり、収納をかなり増やすことができます。
スペースの意味でも大きなデメリットと言えるでしょう。
他にも、最初にも書いたように、基本的には費用アップとなるため、使用頻度が低い場合、単純にコストパフォーマンスの悪いものになってしまうなど、意外にも勝手口にはデメリットが多く存在しています。
勝手口のなぞ
そもそも昔の台所は土間でした。
かまどで火をおこしたりしていましたから。
そこにある出入口だったわけです。
この時代では当然のように必要でした。
なんと言っても、火をおこすのに、まきが要ります。
また、野菜やお米などは別の場所で保存していたため、それを取りにいくときにも出入口がいる。
外との出入りが頻繁にあるため絶対に必要だったのです。
それがいつしか台所も普通の部屋の一部となりました。
でも、サザエさんを見るとわかるのですが、勝手口は残りました。
使用用途は変わって、勝手口は酒屋さんなどの配達や御用聞きの人や、ご近所さんがおすそ分けを持ってくるというような使われ方になりました。
そして、現在。
もはや、御用聞きのようなものもほとんど無くなり、ご近所さんもほとんど玄関から訪ねて来るようになりましたが、勝手口はそのまま残りました。
もはや、ただのごみ出し口として。
基本的には不要かも
マンションやアパートから一戸建てに引越す方は、基本的に勝手口は不要だと思います。
勝手口を必要な人は、どのように使うかがしっかりとイメージできている人だけだと思う。
そういう方は、おそらく実家や今住んでいる家に勝手口があり、今でも頻繁に使っている人。
その場合、無くなると不便を感じるでしょう。
ただ、後からつけることはできないので、念のため作っておこう、というような方には、勝手口は必要無いと思います。
そして、ごみ出しのために勝手口を、という場合も不要です。
ごみ出しのための出入口は、勝手口でないといけないのかということも考える必要があると思う。
勝手口の外にごみ箱を並べているのをたまに見かけます。
便利そうにも見えますが、台風などのたびに飛ばないように対策をしなくてはいけません。
台風のたびに家の中に入れる。
外にあるゴミ箱はたいてい結構大きいため、中に入れる場所があればいいのですが厄介ものです。
それに普段外に置いてあるゴミ箱を家の中に入れるのは嫌という方もいると思います。
そうなると飛ばないように何とかゴミ箱を固定しようと考える。
いろいろ考えてみると外のゴミ箱って想像以上に面倒なのです。
それなら室内にごみ箱用のスペースを広めに取ったほうがいいような・・・。
少し勝手口からは話がそれてしまいましたが、ほとんどの方にとって、勝手口は、あるとたまに便利、基本的には無くてもかまわない、こんなものだと思います。
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