部屋の明かりと言えば、シーリングライト。
以前はこれしかなかったといってもいいくらいほぼすべての部屋にシーリングライトが付いていました。
このシーリングライトに取って代わろうかというほど、最近ではよく採用される照明が出てきました。
ダウンライトです。
ダウンライトとは
ダウンライトは、一般的に天井に埋込んで取り付ける小型の照明のこと。
昔から存在はしていたのですが、一般住宅にはあまり採用されませんでした。
一般住宅にあまり採用されなかった大きな理由は、コスト。
ダウンライトは基本的に小型の照明なので照らす範囲が限定されており、一つの照明では広い範囲を照らすことができません。
部屋全体を明るくするには、照明の数を増やすしかない。
ダウンライト1個の金額はそれほどたいした金額でもないのですが、部屋全体を照らすとなるとたくさんのダウンライトが必要となり数が多くなってしまう。
結果、シーリングライトよりかなり金額がアップしてしまいます。
さらには、器具自体の金額だけではなく、照明を付けるには、取付工事が数の分だけ必要となりますので、手間もかかるため、その分もコストアップの要因となります。
シーリングライトより単純にコストががかることが住宅に採用されなかった一番の理由です。
なぜ最近は住宅にもダウンライト?
あまり住宅には採用されなかったダウンライトが、コストアップ要因にもかかわらず採用されるようになったのはなぜでしょうか?
まず言えるのが、ダウンライトもLEDになったということ。
これによって、電球のように頻繁に切れることはなくなりました。
LEDにより長寿命化、さらに価格もそこそこ安くなり、コスト面も改善しつつある。
ダウンライトは、器具は埋め込まれますので、シーリングライトのように大きく出っ張ることもなく天井がフラットになります。
シーリングライトよりも部屋をスッキリと見せることが出来ますので、住宅にも採用したくなりますよね?
天井をスッキリと見せることができますので、印象として部屋をより広く見せることにもつながります。
部屋のダウンライトについて
ダウンライトを採用すると天井に照明が埋め込まれる形になるため部屋をスッキリと見せることができる。
でも、実は弊害もあります。
ダウンライトを採用する場合、今なら当然のようにLEDだと思います。
LEDは省エネで、寿命も長く、最近では値段も安くなってきましたので採用したくなるのも当然です。
上でも説明しましたが住宅にもダウンライトが普及したのはこのためです。
でも、ダウンライトは、基本的に大きさがあまり大きくありません。
小さなダウンライトで広い部屋全体を照らすためにはどうするか?
とにかくダウンライトをたくさんつけて部屋全体が明るくなるようにするしかありません。
ということは、天井にたくさん照明がついているということになります。
でも、ダウンライトはその形状から天井に埋め込まれているためあまり目立たないから、見た目としてはまったく問題ありません。
何が問題かというと、試しに天井を見上げてみてください。
照明がすごくまぶしくないですか?
ダウンライトの場合、照明の数が多いだけに上を向いた時、直接照明を見てしまうという状況が生まれやすいのです。
普通のシーリングライトの場合、照明は部屋の中央に一個。
照明を直接視線に入れるのは一方向のみとなります。
でも、ダウンライトの場合、複数の方向に照明器具がある状態となるのです。
これはダウンライトの欠点の一つだと思います。
また、LED照明は、指向性があるようで、直接照明を見たときの明るさは、シーリングライトの光に比べてかなりの明るさです。
さらに、シーリングライトの種類によっては、実際に光っているLEDや蛍光灯は、白いカバーの中に入る形状となっており、そのカバーが光って部屋を照らしていると思います。
このカバーには光を拡散させて広げる効果があります。
広げた分だけ光は弱くなるので、元は強烈なLEDの光だったとしても、弱い光が部屋全体を照らす形となります。
対して、ダウンライトの場合、LEDが直接照らす形となっているため、照明一個一個の光の強さは普通のシーリングライトより強く感じます。
ダウンライトがまぶしいといっても、店舗などではよく使われているからそれほど気にすることはないのでは?という意見も見かけますが、一般家庭に向いているかはまた別問題。
まず、店舗は天井が一般の住宅に比べて高いことが多いのです。
基本的に天井が高いとその空間が広く見えるため、店舗などは天井が高くなっていることが多いです。
というか、店舗では天井を意識したことなんてないのではないでしょうか?
商業施設などによっては、天井が高いところだと4m以上のところもざらにあります。
天井が意識できないくらい高くなっているのです。
照明は距離が離れれば明るさは一気に感じなくなります。
そのような空間ではシーリングライトではなく指向性のあるダウンライトでないと、明るさが届かず暗くなってしまいます。
さらに、ダウンライトで空間に明暗を付けることにより空間を演出するという効果もあります。
これらの理由から、店舗にはシーリングライトよりも、ダウンライトが適していると言えます。
対して、一般住宅のような2.4m程度の天井高ではダウンライトは本来あまりお勧めできない種類の照明です。
天井が低いということは、照明との距離が近い、ということ。
そのため光に指向性のあるダウンライトでは照らす範囲が余計に狭くなってしまい、広い範囲を照らすことができません。
照明の数が増えることの弊害
ダウンライトを採用すると照明の数が必然的に増えることになります。
そのため照明の管理がどうしても煩雑になる。
ダウンライトがLEDになったことにより、電球のような球切れはほぼなくなったといってもいいと思います。
ただ、球切れはなくなっても、実際には器具自体の故障が起きてしまっています。
たしかにLED自体は、ほぼ寿命がないといっていいくらいの長寿命。
でも、それは実際に光るLEDの部分についてです。
それをコントロールしている機器側は違います。
LED自体は大丈夫でも、LEDに電気を供給している基盤や制御回路が故障してしまい、結局器具ごと交換することになってしまうのです。
液晶テレビのパネル自体の寿命はすごく長いはずなのに、それを制御する部分が故障するため結局テレビを買い替えることになってしまう、これと同じことですね。
さらに厄介なことに、ダウンライトは埋め込まれて取り付いていますので、電球だけを交換できるタイプ以外は交換を自分ですることはできません。
照明の故障のたびに電気屋さんにお願いすることになってしまいます。
最近では非常に保証期間の長いものも出てきましたが、一般的な照明のメーカー保証は1年程度だと思います。
保証期間は1年でも、1年経ったらどんどん故障するわけではないのですが、仮に器具の故障が平均して5年程度で起きるとして、もし一つの部屋にダウンライトが5個付いていた場合、照明器具が2年に一個は壊れてしまう、ということになりかねません。
ちょっといい加減な計算ですが、2、4、6、8、10年で一個ずつ照明が壊れるとすると5個のダウンライトの寿命を平均すれば、だいたい6年で壊れた、ということになります。
あくまで可能性の話ですし、2年で故障するなんてちょっと早く壊れすぎではありますが、それほど突飛な話ではなく可能性として十分ありえる話です。
照明器具の数を増やすということは、それだけ交換の機会も増えるということ。
あまりこういったことは言われていませんが、コストの面からも、管理の面からも、一般的なシーリングライトのほうが住宅には適していると思います。
本来のダウンライトの使い方
部屋全体をダウンライトで明るくする。
これは本来のダウンライトの使い方からやや逸脱するものです。
ダウンライトとは、光の広がりが比較的小さいため、その範囲は非常に明るいけど、その外は暗い。
照明により明暗を作って空間を演出するというのがダウンライトの一番の役割でした。
店舗でも住宅でもこのような使われ方だったのですが、いつの間にか部屋全体をダウンライトで明るく照らすというような使われ方になってきています。
もし、部屋を明るく照らしたいのなら、ダウンライトではなくシーリングライトや別の照明のほうが適していると思います。
ダウンライトは、空間演出のために補助的な照明として使うのがいいのではないでしょうか?
居住空間にはやはりシーリングライトがおすすめ
基本的にシーリングライトは居住空間に適しています。
特に日本の一般的な家の室内はかなり明るくなっており、それに慣れてしまっています。
日本の文化として、あまり室内の明暗を楽しむ、というような感覚の方は、少ないのではないでしょうか?
部屋全体を明るくするための照明としてはシーリングライトが最適です。
昔のようにただ丸だったり四角のシーリングライトだけでなく、最近では非常にデザイン性の高いものも増えてきました。
ダウンライトも悪いわけではありませんが、それだけに縛られず、シーリングライトも選択肢に入れてみてはどうでしょうか?
ちなみに、廊下などにはダウンライトでも十分に適しているような気がします。
廊下のような長く細い形の場所では、シーリングライトの光の広がり方はあまり必要なくて、ダウンライトをいくつか設置するほうが効率的だと思います。
廊下はくつろいだりする場ではないので、多少空間に明暗があっても違和感はありませんからね。
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