基礎断熱はメンテナンス性を犠牲にしている

家作りの考え方

普通は断熱は壁や床に入っているもの。

それを家の基礎まで断熱してしまおう、というのが基礎断熱です。

確かに、冬に床が冷たくて足から冷えてくるというのはよくあることだと思います。

それなら床暖房を設置すればとも思いますが、初期費用、ランニングコスト、さらにいずれくる故障。

いろいろ考えると躊躇してしまいます。

比較的コストがかからないような方法はないか?と考えていて気になったのが基礎断熱という方法です。

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床下を部屋の中と考える

床下の空間の上に床があり、普通はその床面に断熱材が入っていますが、床ではなく基礎のところに断熱材を施工する。

これが基礎断熱です。

基礎断熱にも2種類あって、基礎外を断熱する方法と基礎内を断熱する方法があるのですが、いずれを行った場合も、基本的に床下を部屋の中、と考えます。

基礎自体を断熱して床下を室内のように扱うことによって、床下の温度を下げないようにする。

さらに、断熱してあるので、1階から床下基礎内に暖房された空気などの暖かい空気を送るようにするなど、基礎内をあたためるような仕組みとする。

そうすることで基礎内が暖かくなり、床が冷たくなくなる。

非常に理にかなっています。

床暖房ほど初期費用はもちろん、ランニングコストもかかりませんし、故障というものもありません。

いいことずくめに感じますが、やはりデメリットがあります。

シロアリに弱い

基礎を断熱材で覆うことによって、シロアリによる被害を発見することが遅れてしまいます。

シロアリは基礎を蟻道という土の道を作って上っていきますが、基礎断熱によって基礎自体がおおわれているとその蟻道を目視で発見できなくなってしまいます。

そして、さらにシロアリにとって都合がいいのは、基礎内が暖かいということです。

ほとんどの虫にとって、寒さは一番苦手なもの。

当然シロアリも苦手としています。

でも、基礎断熱により基礎を寒くならないようにした上で、さらに暖房などの暖かい空気を送り基礎内を暖めることによって、地面と接している基礎がシロアリの好む環境となってしまうのです。

環境がいい上に、その発見も遅れる。

この点については大きなデメリットといえるでしょう。

基礎を覆うことにはデメリットが多い

基本的に、メンテナンス性の面を考えると、メンテナンスが必要な箇所には容易にアクセスできる、ということが重要なのですが、基礎断熱では、基礎部分を断熱材により覆い隠してしまいます。

それにより基礎に欠陥が発生した場合には、その発見が遅れることになってしまいます。

家の基礎は非常に大切です。

家のすべての重さを支えているのが基礎ですから。

きちんと建てられた家ならば基礎に異常が発生することはあまりないかもしれませんが、もし万が一基礎に発生するかもしれない不具合や問題、基礎のひびや割れなどを覆い隠して、発見を遅らせてしまうかもしれないのです。

メリットとデメリットを比較すると、基礎断熱はあまりおすすめできるものではないかもしれません。

温暖な地域では不要

日本では北のほうの寒い地域ならともかく、比較的温暖な地域ではメリットよりデメリットが大きくなってしまうように感じます。

また、寒い地域においても、確かに熱を逃がしにくく効果はありますが、構造上もっとも大切な基礎を覆い隠して目視による点検ができなくなるデメリットがあるということを認識した上で、採用することをおすすめします。

コメント

  1. 丸山直樹 より:

    基礎断熱の最大のメリットは気密がとりやすいことです。
    外壁の断熱材の写真がありますが、施工方法が昔ながらの隙間だらけなもので気密の概念が欠如しています。というか、そもそもマニュアルを無視しています。
    こういった工務店では基礎断熱をしても意味がないばかりかマイナスになります。

    • house-knowhow より:

      コメントありがとうございます。

      基礎断熱は、断熱施工によって隙間がなくなり、床面や壁内からの漏れが少なくなるということですね。
      勉強になります。
      たしかに、通気工法に比べ、気密性という点では大きなメリットになりそうです。

      ちなみに、画像は普通の外壁断熱材施工のもので、基礎断熱とは関係ない画像となっています。

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