広告・宣伝には十分気をつけるべき

家作りの考え方

広告や宣伝というものは、わかりやすくなければいけません。
そのために嘘ではありませんし、間違ってはいないのですが、あえて勘違いをさせようとしているのではないかというようなものもあります。
これは住宅の広告、宣伝についても同じです。
特によく見かける広告、宣伝手法についていくつかあげてみます。

今だけこんなにお得です

キャンペーン中だったり、決算期であったり、今だけこんなにもお得です。
今月でキャンペーンが終わってしまうので、来月にはこんな金額は出せません。
こういったことは常に営業さんから言われています。
今月だけのはずが常に言われているということにすでに矛盾があります。
キャンペーンというものは、一個のキャンペーンが終われば次のキャンペーンが始まります。
トータルではほとんど変わらないということです。
しかも、たいていの場合、今月限定と言ってもらった見積金額を、来月でも出してもらうことは可能です。

見積をもらい、この金額はその月だけしか出せないと言われている。
家は気に入ったが、金額がわずかに予算オーバーであきらめた。
でも、翌月やはりあきらめることができず、そのメーカーに前の見積と同じ金額なら契約しますと伝える。
こんな感じのやり取りで、同じ金額の見積を出してこない営業さんはまずいません。
先月OKだった金額なら今月NGなんてことはまずない。
ただ、ハウスメーカーによってたまに本当にNGのこともありますので注意は必要ですが、できる営業さんならなんとしても総額の数字は合わせてくれるはずです。

このキャンペーンというもの。
ある意味では、営業さんにとっても、家を建てる側にとってもありがたいものです。
値引きがではありません。
決断を迫ると、言う意味においてです。
これだけ大きな金額の契約について、そんなに簡単に決断できるものではありません。
プランは問題ない。
金額も少し高いけど、問題なさそう。
でも、不安だ。
一部の人は決断できるのですが、ほとんどの方は、こう考え始めると結論が出ないままどんどん時間が経ってしまいます。
キャンペーンの期限でもなければ、いつまでたっても決められないのです。
決断の手助けになるとも言えますので、あながち悪いものでもないかもしれません。

数字を使った宣伝


家を建てる側はほとんどの場合、初めて家を建てる素人です。
そんな人には、細かいことを説明するより、数字があるとわかりやすくアピールできるため、アピールしやすい。
耐震等級について、耐震等級3で安全であると言うのはよく宣伝で見かけます。
確かに耐震等級3であれば耐震等級1よりは強いでしょう。
でも、家を強くしても生命が守れるかどうか、また、地震などが起きた時、そのまま住めるかどうかはまったく別物です。
家が地震にもったとしても、その地盤は大丈夫なのか?
地盤調査で保証されているといっても、それはあくまで普段の時の不同沈下などです。
地震などの災害時は、ほとんどの場合、保証はされていません。
ちなみに、耐震等級1は、数百年に一度程度の大きさの地震で崩壊しない程度。
耐震等級2は、その1.25倍。
耐震等級3は、その1.5倍。
3のほうが1よりは1.5倍は強いということにはなります。
ただ、それもあくまで構造が強いというだけで、数百年に一度の地震の1.5倍の地震がくることに備えるならば、家具の配置や電気の漏電、ガス漏れなどにより火災への備えなど考えるべきことは他にもたくさんあります。
耐震等級にこだわる意味はほとんどないと思います。
とはいえ耐震等級については地震保険で特になるなど少しはメリットもありますのでまだ許せます。

でも、家の断熱性などをアピールするためにC値、Q値などという数値については、まさに宣伝のための数字なのではないかと思うのです。
C値、Q値は住宅展示場などに行くと一度は耳にするのではないでしょうか?
C値は、単位面積当たりの隙間相当面積、Q値は、単位面積当たりの熱損出係数です。
まず、C値について、実際に意味があるのか本当にわからない数字だと思っています。
いくつか疑問があるのですが、例えば、C値を測定する時の機械について。
隙間を測定するために弱い力ですが圧力をかけます。
普段は圧力がかかっていないとすると、その隙間を測定する意味って何でしょう?
圧力差がなければ隙間があってもそれほど空気が流れ込むこともないのですが・・・。
さらに、隙間がないように施工して、C値が0.5でした。
これはかなり高気密だと思います。
で、実際に住み始めるときには、24時間換気を回す。
気密を取ったのに、結局外気を導入し、室内の空気を排気しています。
気密性を高めたのに結局換気しています。
本末転倒では?
壁内結露を防ぐために気密性が高くないといけない。
24時間換気については熱交換している。
こんなことをあるメーカーの営業さんから聞きました。
言っていることは理にかなってはいます。
特に3種換気ではそうかもしれません。
でも、最近は1種換気が多い気がします。
圧力差が生まれないならば、C値の差はほとんど影響しないのでは?
ましてやC値が2と0.5では4倍違う。
確かに大きな違いと考えることもできますが、C値が8と2の4倍とは異なります。
簡単に言うとC値が2でも十分に小さな値だといえるのではないでしょうか?
本来は、C値が2ではこれくらい電気代がかかり、0.5ならこれくらいである。
だから、C値は0.5くらいでなかればいけない、ということを言わないといけない。
それを省いてしまって、0.5の方が性能が上です、と言っているだけになっている。
性能がいいほうが良い。
それは間違いではありませんが、普段買い物くらいでしか乗らない車、軽自動車でも十分な人に、性能がいいからってポルシェを売る。
ちょっと極端すぎな例ですが、性能がよければいいというものではないはずです。

しかも、24時間換気の換気量から考えると、隙間面積からの外気の流入なんて本当に小さなものに過ぎません。
ちなみに換気量を少し計算してみたところ、延床面積が120平米として、天井高さが2.4mとすると
1時間の換気量は最低でも144m3。
だいたい5mの立方体分の空気を捨てて、その分外気を吸っていることになる。
C値がいいことは良いことですが、隙間からの空気の流入なんてわずかな違いの影響など考えるのが馬鹿らしくなるほどの24時間換気の換気量だと思いませんか?

では、Q値についてはというと、Q値はあくまで理論上の数字であり、計算しても理論値に過ぎません。
実際との違いは誰にもわからない。
施工による違いについては何も考慮されていない数字です。
C値、Q値は、住宅ではあまりない数字としてわかりやすい性能の指標ですので、宣伝には使いやすいです。

海外との比較

ドイツや北欧の家は、高気密高断熱で非常に快適である。
間違いではありませんし、方向性としては別に間違ってはいません。
でも、これは日本人がいまだに持っている、欧米に対するコンプレックスや憧れを利用した宣伝文句であるとも考えられます。
消費税などでも言われますが、日本の消費税は欧米より遥かに低い。
本来、消費税について欧米にあわせなくてはいけない特別な理由などありませんよね?
都合のいいときだけ欧米を基準に考えるという典型的なことだと思います。

ドイツや北欧の家の断熱はすごいとか、いろいろ聞くと、ならばドイツの家の断熱基準にできるだけ近い家を建てようなんて思ってしまう。
でも、ドイツと日本の気候の違いについて、きちんと理解していますか?
そもそも平均気温で比べるだけでも10℃近く差があるのですが・・・。
もちろんドイツのほうが寒い。
そりゃあ家の構造が違っても当然ですよね。
光熱費について考える場合、断熱性も重要ですが、それと同様に外と部屋の中との温度差が重要になってきます。
温度差が大きいほど部屋の中の温度が逃げやすいからです。
日本で外が10℃、室内が20℃の時、ドイツでは外が0℃、室内が20℃だとすると、断熱性が同じ家の場合、熱の放出量は2倍となるのです。
そりゃあドイツでは断熱性をよくしないと家の中がとんでもないことになりますし、光熱費だってすごいことになってしまいます。
ちなみに、ドイツの夏はどうかというと、暑い日もありますが、雨が降ったり寒い日には少し厚手の上着が必要となるほど冷え込みます。
日本では考えられませんよね。
そんな気候の国の家と同様に考えること事態が不自然なことです。
国によって気候などの環境が違えば、文化も異なる。
家も違うのが当たり前で、同じような家にする必要はまったく無い。
海外の家との比較で断熱性が良くないと!というアピールは少し違和感がありますね。

広告だから仕方ない

他にもいろいろと惑わせたり、わざと誤認させたりするような広告はあると思います。
ただ、仕方ない面もあります。
人に興味を持ってもらうものが広告ですから。
だから、広告だからこういったものも含まれているということを知っていることが大切です。
特に数字による比較には問題があることが多い。
その数字の正確性もさることながら、比較の仕方など誤認させる方法は多種多様でおそらくきちんと判断するのは難しいと思う。
では、数字が信用できないなら何で比較すべきかと考えたら、結局、見た目が好きなところを選んだほうがいいような気がします。
最近の家はある程度きちんとしたところに建てるのをお願いすれば、どこで建てても十分高性能な家だと思いますから。

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